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Monkeyからのお知らせ・コラム

猿家物語

モンキー「90K」について

・90K(キューマル ケイ)
~トップチューブ ヘッドチューブ側曲げ 通常2本シートステイデザイン~

 

モンキーの顔とも呼べる基本的なフレームデザインが「88D」から発展した「90K」でした。
コードネーム通り、90年代初頭から後半にかけて、ケーススタディを含めると最も多くのバリエーションを生み出したモデルと言えます。

90年代初頭は、モダンなXCバイクへのプロローグと言える時代でした。前後リジットフレームのスケルトンに対する考え方は、この時点で完全に固まっていたと言えますが、デザイン面では、トランスミッションやブレーキといったメインパーツの急激な進化(これは現在でも言えることですが)が、より一層の合理性をフレームに要求し始めました。

個人的にはシンプルなダイヤモンドフレームへの回帰を考えさせられましたが、88Dの特徴であったモノステイを廃止し、トップチューブの位置も一般的な取り付けとし、シートピラークランプ割部を後側に戻し、トップチューブの曲げのみを残しました。これは、合理性を唯々追求しようとする内なる敵へのささやかな抵抗でした。

モノステイを止めた理由は簡単です。バックフォークの応力発生点を増やすだけで、ゲージを上げて強度を確保すると重くなり、納得できる踏み味を創り出すのにも不利です。もちろん、軽量化にも不利です。しかし、スタンダードな二本ステイなら、意図も簡単に解決でき、何も悩む必要はありません。

また、90Kは格好のテストベッドとなってくれたバイクです。トップチューブへのワイヤリングの移行、アウターチューブ類を極力省略し、そして再びフルアウターワイヤリング化、効率の良い各部の補強スタイル(デザイン)、クロモリフレームの乗り味の良さの確認、そしてシンプルなデザインによる明確なスケルトンの異差確認です。そしてもう一つのラッキーは、フロントサスペンションを加味したスケルトン設計のアイディアを十分に勉強させてくれたことです。

その後は「98S」という新しいデザインに発展したため、「90K」は身長170センチ以上のライダーにおすすめのモデルとなりました。
特に、175〜180センチ前後のライダーに最も適したフレームサイズとなっています。メーカー車や企画フレームよりもモンキーバイクらしく、日本の里山でのコンパクトな乗りやすさを大柄なライダーにも提供できる個性的なフレームデザインが「90K」と言えるでしょう。

そのため、2000年以降の「90K」は、チェーンステイの強化とシートステイの曲げによる適度な柔らかさをバックフォークに持たせる設定を基本とし、標準化しています。